コラム一覧
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2024年08月26日今年の夏も、日本で観測史上最も暑い夏となった2023年に匹敵する暑さとなっており、豪雨や台風も頻発するなど、気候変動を実感させられる状況となっている。こうした状況を背景に、気候変動対策の重要性が改めて認識され、カーボンニュートラル実現に向けた取り組みが加速されると予測される。そこで、本コラムでは、5月21日に世界銀行が公表した2024年版「カーボンプライシングの現状と傾向」の結果を紹介し、日本における成長志向型カーボンプライシングの実現について展望する。
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2024年06月10日財務省は5月31日、4月26日から5月29日の為替介入実績を公表した。この統計は、「外国為替平衡操作の実施状況」と呼ばれる統計で、他の大規模な政府統計とは異なり1行だけの統計で、対象期間における介入総額が記載されているだけである。通常は、ほとんど注目されない統計であるが、今回は為替レートや日銀当座預金の動きから、4月29日と5月2日に過去最大規模の介入が実施された観測があり、その答え合わせの意味でも注目度の高い統計となった。その結果、円買い介入総額は9兆7885億円であり、ほぼ市場の予想通りで過去最大の介入が行われたことが明らかとなった。いずれの円買い介入の際も、ドル円為替レートは1ドル5円程度の円高が進み、その後、3円程度円安に戻るような結果となっている。介入の結果、過度な円安の進行は防ぐことができたが、円安の流れを変えるまでには至らなかったという印象である。本コラムでは、5月27日に内閣府が公表した2024年5月の月例経済報告資料などを参考にしながら、円安について議論したい。
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2024年05月16日日銀は3月19日の金融政策決定会合で2%の「物価安定の目標」が持続的・安定的に実現していくことが見通せる状況に至ったと判断し、マイナス金利やイールドカーブコントロール (YCC) を含む大規模緩和の解除を決めた。日銀は2013年4月の量的・質的金融緩和 (QQE) の開始以降、マイナス金利やYCCの導入も含めて、革新的な金融緩和を継続してきたが、その金融緩和が終わりを告げる歴史的な1日となった。金融市場はすでにそれをほぼ織り込んでいたため、金融市場の反応は限定的なものとなったが、日銀の10年間に渡る歴史的な金融緩和が、金融市場に与えた影響は大きく、株価は大きく上がった。一方、円安は歴史的な水準に達し、株式市場や債券市場に歪みをもたらした可能性も否めない。本コラムでは、2023年12月4日に日銀で行われた「金融政策の多角的レビュー」に関するワークショップ第1回「非伝統的金融政策の効果と副作用」の第1セッション「過去25年間の本邦金融市場の振り返り」の資料に基づいて、日銀の大規模金融緩和の債券市場における副作用について議論する。
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2024年02月16日2024年2月6日に毎月勤労統計調査2023年分結果速報が公表された。毎月勤労統計調査は、雇用、給与及び労働時間の毎月の変動を明らかにすることを目的とした厚生労働省の調査である。毎年2月は、前年の年間結果も公表されるため、特に注目度の高いものとなっている。本コラムでは、毎月勤労統計調査の2023年の年間結果を紹介し、実質賃金上昇に向けた政策について議論する。
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2023年12月12日12月8日朝のニュースでドル円為替レートが一時141円台を記録したことに驚いた人も多いのではないだろうか。12月7日の同時間帯は147円台で取引がされており、それと比較すると、5円以上という大幅な円高が1日で進んだことになる。この契機となったのは、日銀植田総裁の発言から、日銀の金融緩和政策に更なる修正が入る可能性が取り沙汰されたことである。本コラムでは、内閣府がまとめた「2023年度年次経済財政報告」から、金融政策を取り巻く環境を概観し、金融政策と政府債務の持続可能性について議論する。
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2023年10月16日日本はポイント大国と言われており、矢野経済研究所がまとめた「2022年版 ポイントサービス・ポイントカード市場の動向と展望」によると、2021年度のポイント市場の規模は2兆円を超え、2026年度には2兆5000億を超えると予想されている。本コラムでは、2023年6月にマイボイスコムが行った「ポイントサービスに関するアンケート調査」の結果を紹介し、日本のポイント市場の現状と潮流を概観する。それに続いて、日本がポイント大国となった考えられる理由を考察し、ポイントの投資促進政策への有効活用について議論する。
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2023年08月23日2023年6月、世界経済フォーラム(WEF)は、世界各国の男女格差の度合いを評価した「Global Gender Gap Report」(世界男女格差報告書)の2023年版を発表した。また、7月には、厚生労働省が男女の雇用均等問題に係る雇用管理の実態を把握する雇用均等基本調査の2022年度の結果を公表した。いずれの結果も、日本における男女の雇用機会均等が期待通りには進んでおらず、政府ならびに企業が一丸となって、より一層の努力をしていく必要があることが浮き彫りとなった。本コラムでは、その点をデータから確認するとともに、筆者の最近の研究結果も含めて、日本の女性活躍において重要と考えられる点を議論する。
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2023年06月27日主要国の中央銀行や財務省が参加する金融安定理事会は、2015年末に温室効果ガスによる地球温暖化の深刻なリスクを懸念し、持続可能性の高い低炭素経済への速やかな移行を促進するため、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD, Task Force on Climate-related Financial Disclosures)を発足させた。
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2023年04月19日2024年からNISAの制度が拡充されることとなった。NISAは簡単に言えば、少額からの投資を促すための非課税制度であり、イギリスのISA(Individual Savings Account=個人貯蓄口座)をモデルにした日本版ISAとして、2014年1月にスタートした。
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2023年02月23日2022年12月22日、IRサイトの使いやすさや情報の充実度を評価したGomez IRサイトランキング2022が発表された。
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2023年01月11日2022年12月23日、2023年度税制改正の大綱が閣議決定され、公表された。本年の税制改正の大綱は、防衛力強化に係る財源確保の課題があり、例年と比較して、注目度の大きいものとなった。
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2022年12月02日近年、持続可能な開発目標を示すSDGsという言葉をよく耳にするようになっている。SDGsは、国連加盟国が2016年~2030年の間で持続可能な世界を実現・達成するために掲げた17つの目標であり、2015年に国連サミットで採択された。
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2022年10月28日内閣府が毎月実施している消費動向調査は、今後の暮らし向きや物価の見通しについて消費者の意識を調査し、景気動向判断の参考とするものである。最近は、物価の上昇が家計を圧迫し、消費者態度が悪化していることが懸念されていることを背景に、この調査結果の注目度が以前より増して高くなっている。
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2022年09月30日インターネットが普及した現代、多種多様な情報やデータを容易に手に入れることができる、いわゆるビッグデータの時代となった。情報やデータは、企業のマーケティング戦略、政策立案者の政策運営など、様々な意思決定に用いられる。
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2022年08月23日新型コロナウィルスが世界を騒がせて、既に2年半が過ぎた。各国が様々な対策を取りながら、通常の生活を取り戻そうとしているが、以前の状態に戻るにはまだ時間がかかりそうな様相である。この2年ほどは、少しの咳や微熱にも敏感になり、改めて健康の大切さを感じることが多いものとなったのは事実であろう。このコラムでは、健康に関連するデータをいくつか紹介したい。
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2022年08月15日益々複雑化する現代社会において、心理学を経営や企画、マーケティング活動に利用しようとする試みは枚挙にいとまがありません。 例えば行動経済学の一種であるナッジ理論は、行政への活用も進んでいます。厚生労働省では、がん検診の受診率向上を目指して、心理学を応用した取り組みで成果を上げました。 https://www.mhlw.go.jp/content/10901000/000500406.pdf
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2022年07月22日近年、気候変動が原因と思われる異常気象が多く観測されているが、2022年も例外ではないようだ。6月は日本各地で猛暑となり、東京は6日連続猛暑日を記録し、6月の猛暑日連続記録を更新した。7月に入ってからは、線状降水帯という言葉が頻繁に聞かれるようになり、大雨や土砂災害への警戒が促されることが多くなっている。また、ヨーロッパ各地で熱波が猛威をふるい多くの死者や山火事が発生する事態となっている。 このように、気候変動は確実に実感せざるを得ないものとなっており、気候変動に歯止めをかけることは、短期的にも長期的にも喫緊の課題となってきている。実際、日本政府は2020年10月、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、カーボンニュートラルを目指すことを宣言し、動き出している。それでは、人々は気候変動に対して、どのような意識や意見を持っているのであろうか?内閣府が2020年に行った気候変動に関する世論調査は、まさにそれを調べた興味深いものとなっている。また、内閣府は、調査名や調査内容に変更を加えつつ、地球温暖化対策に関する世論調査を、過去複数回に渡り行っている。これら一連の世論調査は、単純比較は難しいものの、気候変動に関する意識の推移が見てとれる貴重な調査となっている。
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2022年07月14日内閣府が5年に一度行っている就業構造基本調査は1、国民の就業及び不就業の状態を調査し、全国及び地域別の就業構造を把握するものであり、注目度の高い調査である。特に、2013年にアベノミクスの3本目の矢である成長戦略の中核として「女性の活躍」が掲げられたため、2017年調査は、その成果や課題を概観するためにも、重要な調査となった。
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2022年07月14日2020年通信利用動向白書※が公表され、新型コロナ拡大による「新しい生活様式」としてテレワークが大幅に普及していることがわかった。 テレワークを導入している企業の割合は47.4%。前年から27.3%ポイント増と過去例を見ない増加となり、今後導入を予定している企業を合わせると半数以上の企業がテレワーク導入を進めていることが明らかになった。